“柳田格之進”
これ、難しいと思うんです。
もとは多分、講談なんでしょうね。
こういう“サゲ”がなく、しかも笑わせどころがあまり無い噺って、
ダレてしまった場合、
聞いてる側の空気が演者を押し包んでしまって、
よけいグダグダになってしまう場合があるんですが、
流石、志ん輔師匠でしたねぇ。
情景は勿論、登場人物それぞれの心の動きが、
下手な映画なんかより目に飛び込んでくる感じです。
圧巻は、やはりラストシーンなんですが、
そこに行き着くまでの噺があってこそのラストシーンになってます。
ラストシーンだけ盛り上げようとしても、
やはりダメなんですな。
登場人物それぞれが生きていないと、ラストも生きないですよ。
こまかいところをいちいち
「あーだった、こーだった」と言い出したらキリがないので、
一つだけ、いかに凄かったかという事を。
志ん輔師匠のこの噺、当日のオオトリだったんですが、
終わって、緞帳が下がり始めたとたん、
全身鳥肌でした。
ホントに。
高座にかかった噺を聴いて、鳥肌が立ったのは始めてでした。
ならぬ禁酒、するが禁酒。
芋焼酎、お湯割の一席でございます・・・