“古都”である。
ノーベル文学賞を受賞した作家の原作は読んだことは無いが、
映画の“古都”のことである(1980年版)。
山口百恵引退記念作品として撮られたフィルムだが、
引退30周年記念ではなく、
31周年という半端な時に、
無性に観たくなった。
三浦友和も出てはいるのだが、
深いラヴロマンスは無く、
淡々と山口百恵の、千重子・苗子二役の葛藤が流れていく。
(個人的には、苗子メイクの山口百恵の方が好み)
まぁ。監督が市川崑ということで、
1976年からスタートした、同監督の“金田一シリーズ”と、
どうしてもかぶってしまうのだが、そこが改めて面白かった。
なんと言ってもキャストの顔ぶれが、
個人的にはツボ(ここでは70年代の
市川版“金田一シリーズ”に限定)。
・岸惠子(悪魔の手鞠唄、女王蜂)
・沖雅也(女王蜂)
・石田信之(女王蜂)
・加藤武(市川版金田一シリーズ全ての轟警部)
・小林昭二(市川版金田一シリーズ全て)
・常田富士男(悪魔の手鞠唄、女王蜂、病院坂の首縊りの家)
スタッフでは、
・音楽:田辺信一(獄門島、女王蜂、病院坂の首縊りの家)
・撮影:長谷川清(市川版金田一シリーズ全て)
とまぁ、観ていて、
いずれ石坂浩二がフラッと出てきても何の違和感もなく、
いずれ坂口良子が
「金田一さ~ん、探偵のお手伝いしましょうかぁ」と、
石坂浩二を追いかけ始め、
結局、加藤武がバチンと手を鳴らし、
「よ~し分かった! 苗子の父親は事故に見せかけて、
殺されたに違いない!」
などと言い出してもおかしくない。
これで荒波の日本海をバックに白石加代子が、
「苗子の父親が亡くなりんさった時の事ぁ、
よ~う憶えとります・・・」
なんて言い出そうもんなら、完全に“金田一シリーズ”だな。
そんな感覚で観てしまった。
市川組の作品ということで考えれば、
そうなっても不思議ではないのだろうが、
興味深かったのが、
前年までに撮られた“金田一シリーズ”のキャストから、
“古都”へも出演しているキャストの100%が、
“女王蜂”で占められているということ。
“女王蜂”といえば鳴り物入りで、
佐田啓二の娘を売り出すための作品でもあったワケで、
古都も、山口百恵のフィナーレを飾るべく撮られた作品であり、
新人サラブレッド役者と引退宣言スーパーアイドルの違いはあれど、
似たような背景を持って制作された作品に思える。
であるがゆえの、豪華キャストだろう。
コケられないもんね。
はぁ~、なるほど・・・
と、特にオチは無いのだが、
ちょっと意地悪な観方をしてしまったかな。
と言いつつも、作品そのものは、好きです。
同世代の輩は皆、好きだよね、
山口百恵・・・
余談・・・
山口百恵と同世代で言えば・・・
“病院坂の首縊りの家”の桜田淳子は(宗教問題は別として)、
凄くイイと思う。