まぁ、辰年になったからというわけではないが、
昇り龍のお銀が活躍する“女賭博師シリーズ”である。
江波杏子の“女賭博師シリーズ”が以前から気になっていた。
で、全17作品を観てみたのである。
(くどいようだが、決して辰年になったから、ではない。)
「入ります」と、クールに発せられる台詞とともに、
カルタを繰る音が静かに響く・・・
ちょいと日本人離れした顔つきの江波杏子が、
髪をアップにして、着物をキリリと着こなし、
時には壺を振り、時にはカルタを繰る姿は、
とてつもなく格好良い。
全17作のうち、
第一弾と第二弾はアキとか夏江という名で登場となるが、
第三弾以降は“昇り竜のお銀”こと大滝銀子として、
シリーズを駈け抜けていく。
毎回おきまりのパターンで、
物語はクライマックスへと向かって行くのだが、
ワンパターンと捉えるか、様式美ととらえるか・・・
自分としては、後者と捉えたい。
幾多の苦難や妨害を乗り越えて毎度々々、
大滝銀子は最後の決戦に乗り込んでいくのである。
時には師匠、時には恩人である親分の無念を晴らすべく!
そんなお銀の周りを固める脇役陣もまた、
このシリーズの魅力といえる。
ほぼ毎回登場の、若き日の成田三樹夫はクールであり、
シリーズ後半の常連となる、若き日の安田(大楠)道代は
どこか憎めない可愛さがあり、
何本かで敵役を演ずる三条魔子は、セクシーな魅力で華を添え、
他に志村喬、伴淳三郎、渡辺文雄、天知茂、川津祐介、
小池朝雄、露口茂、田中邦衛、長門勇、
そしてなんと、丸山(三輪)明宏まで登場と相成るのである。
しかし、圧巻は第五弾“関東女賭博師”にて、
大滝銀子の師匠を演じる、伊藤雄之助である。
シリーズ登場はこの一作ながら、
流石の名バイプレイヤー、凄い存在感を醸し出している。
我々の世代だと、伊藤雄之助と言えば“太陽を盗んだ男”にて、
バスジャック犯を演じていたのが、強烈な記憶に残っているか。
話はそれたが、
大滝銀子は、正に昭和のピカレスクヒロイン。
格好良すぎる、という話である。
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